海外展示会・見本市出展、ブース通訳は予算にメリハリ「High-Low Mix」で人数を揃えよう

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台湾の展示会・見本市でブースを出展する場合、小さなブースであっても、通訳(兼説明員)は最低3名置くことをお勧めしています。3人では多すぎると思われる方も多いと思いますが、そうではない理由を説明します。

声掛け、説明、商談通訳を分担

展示会では通訳(兼説明員)の実際に行う動作は「声掛け」、「説明」、「商談通訳」と3つに分けることができます。

まずは自社ブース近くに来た人に対して「声掛け」をし、パンフレットなどを渡したりします。大きな展示会ではブースもたくさんあるので、自社ブースに関心を持ってもらうには重要な動作です。

興味を持ってブース前で足を止めたり、質問をしてきた人に対して「説明」を行います。さらに細かい話や具体的な取引条件を聞きたいという人に対し、日本側との間で「商談通訳」に入ります。

2人だけの場合、1人が「商談通訳」や休憩に行ってしまうと、残り1名が「説明」をしている間は全く「声掛け」ができなくなってしまいます。これではせっかく出展してもその機会を有効に活用できないことにもなりかねません。よって3名体制をお勧めしています。

交代で休憩を取る

また実際ブースに立ってみるとわかりますが、ずっと立ち続けるのは体力的にとてもきついです。疲れてしまうと接客や商談も元気よくできないので、定期的に15分程度の休憩を取った方が望ましいです。3人にするのはローテーションを組み、交代で休憩してもらうためでもあります。

中国語ができない人はカウントしない

台湾の展示会・見本市では英語や日本語が通じたとしても上手く自社の魅力が伝わる保証はありません。基本的に中国語しか使えない前提で考えるべきです。先ほど挙げた「声掛け」、「説明」のほとんどは中国語で行われます。

「商談」 についても通訳がいないとできないことが多いので、中国語があまりできない日本人の方はブースの説明員としては戦力としてカウントできないことになります。

良く「自社社員を派遣するので通訳は1名で良い」という日本企業がいらっしゃるのですが、実際やってみると通訳に業務が集中し、通訳は東奔西走で疲労困憊、自社社員は中国語ができないのでパンフレット配りくらいしかできないという事態になることがほとんどです。

ハイローミックス(High-Low Mix)

3人も通訳をそろえると費用がかさむことを心配されている方も多いと思います。そこで弊社よりお薦めするのが「ハイローミックス(High-Low Mix)」の概念です。もともと軍事用語で、高性能で高価な機種(ハイ)と、低性能で安価な機種(ロー)を組み合わせて、戦力と数の両方をある程度まで満足させようという考え方です。

高度な通訳能力が必要なのは 「商談通訳」

「ハイ」にあたるのは「商談通訳」 を受け持つ通訳です。商談通訳は商談に入る以上、通訳する内容も難易度が高い上、予期していない質問が来ても通訳できないといけません。よってここに優秀な通訳を充てるべきでしょう。

商談通訳は商談が無い場合はある程度休憩してもらう代わり、休憩中でも何かあればすぐに呼び戻される可能性があることが前提になります。また商談相手が真剣であれば、商談通訳が不在の場合は別途時間を約束して後で商談するか、場合によっては後日相手を訪問することも可能だと思います。

「声掛け」や「説明」は中国語で完結可能

先ほど挙げた通訳(兼説明員)の動作の内、「声掛け」や「説明」はほとんど中国語で行われます。事前にしっかり自社や商品・製品について中国語で教育することを前提に、日本語能力はそこそこでよいので、参観者への対応能力が高い人を採用した方が良いと思います。

展示会・見本市では、商談する気もないのに説明員との会話を楽しみたい人、こちらが忙しいのに空気を読まずに売り込みを掛けようとする人、歩き疲れて座って飲み物を飲みたいがために「ニセの商談」をしたがる人など、「招かざる客」はどうしても出てきます。こういう人にいかに効率よく対応し、次の参観者への声掛けを行えるかは説明員の腕の見せ所です。

全員がブース内にいる必要はない

台湾展示会・見本市も最小スペースは1小間・3×3mとなります。これだと3人では物理的に多すぎるのではないかと思われる方も多いと思いますが、そんなことはありません。

そもそも先ほど挙げた動作の内、「声掛け」と「説明」はブース内ではなく、ブース前などで行うものです。3人ともにブース内にいる事態はあまり発生しないことになります。

休憩に関しても、会場内に座る場所はある程度用意されており、ブース内でなくても休憩可能ですし、寧ろブースから離れた方が落ち着いて休憩できると思います。

通訳の予算はちゃんと確保しよう

通訳(兼説明員)は中国語で直接コミュニケーションをとるほぼ唯一のチャネル、ここでケチって台湾展示会・見本市出展の効果が薄れることがあれば、そもそも何のために出展したか分かりません。

ブースの内装などで最初にお金を掛け、あとで通訳(兼説明員)の費用に気づき、急にコストを抑えようとするケースが多いように思います。出展予算を決める際にあらかじめ通訳(兼説明員)の費用もしっかり見込んでおきましょう。

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