中小企業の多言語・外国語サイトのドメインには「.com」を使うべき?いまさら聞けない「.jp」がNGの理由

せっかくお金や時間をかけて多言語・外国語サイトを作っても問い合わせがあまり来ない・・・そんな際の原因の一つが「ドメイン」。「○○○.jp」のウェブサイトに外国語ページを入れていたりします。それがなぜかNGかできるだけ分かりやすく解説します。

ドメインとは?

ウェブサイトのURLが「www.〇〇〇.co.jp」、「 www.〇〇〇.com 」だとすると「〇〇〇.co.jp」や「〇〇〇.com」の部分を「ドメイン」と呼びます。細かい説明は省きますがインターネット上の住所の様なものです。昔は会社の場合「www.〇〇〇.co.jp」と「co」がついていたのですが、最近は「www.〇〇〇.jp」と「co」が無いパターンもあります。

日本は「.jp」、台湾は「.tw」

「〇〇〇.co.jp」や 「〇〇〇.jp」の「jp」は「国別コードトップレベルドメイン (country code Top Level Domain、ccTLD)」と呼ばれ、国や地域ごとに2文字のアルファベットが割り当てられています。日本は「Japan」から「.jp」となっていますし、例えば台湾は「taiwan」から「.tw」となっています。

国・地域に縛られない「.com」

〇〇〇.com 」 の「.com」は国や地域に関係のないドメインということで「ジェネリックトップレベルドメイン (generic top-level domain、gTLD)」と呼ばれます。ちなみに「com」は「commercial」の頭文字を表し、企業や商用サービスのWebサイトで主に使うためのもので、 国や地域には関係がありません。

海外の検索エンジンでは表示されない「.jp」

検索結果(日本)
検索結果(日本)
検索結果(台湾)
検索結果(台湾)

例えば同じキーワード「mcdonald」で検索しても日本と海外の検索エンジンでは出てくるサイトがことなります。例えば日本のGoogleだと日本のマクドナルド (www.mcdonalds.co.jp) が表示されますが、台湾だと台湾のマクドナルド (https://www.mcdonalds.com/)が表示されるのです。

当たり前と言えば当たり前なのですが、Googleはサイトの内容がどの国や地域向けの物か認識して検索結果の表示を変更しています。その手掛かりとして先ほど挙げた国・地域別のドメイン、ccTLDが使われています。

つまりドメインが「.jp」の場合、Googleでは「日本向け」だと認識されるので、海外では表示されにくいことになります。これが多言語・外国語サイトのドメインに「.jp」がNGの理由なのです。

全世界を相手にするには「.com」

先述しましたが、国・地域に縛られない「.com」の場合は、特に指定しなければGoogleでは全世界向けのサイトとして認識されます。多言語・外国語サイトのドメインにはまず「.com」を使うべきだと言えます。

「com」以外のgTLD

国・地域に縛られないgTLD、「.com」ですが、「○○・ドットコム」というのが言いやすい・覚えやすいなどの理由で非常に多くの人が申し込みます。よって「 〇〇〇.com 」 の「〇〇〇」の部分が希望通りにならないことがほとんどです。例えば弊社(パングー)も「pangoo.com」を申し込みたいのですが、残念ながら他の人に取られてしまっています。

そういった場合「com」以外のgTLDの選択も以下の通りあります。

  1. 以前から使われているもの
    • .com
    • .net
    • .org
  2. 最近使われているもの
    • .biz
    • .info
  3. 本当は地域に関係があるドメインだが、GoogleではgTLDとみなすもの
    • .eu (本来はEU向け)
    • .asia (本来はアジア向け)
  4. 本当は国・地域別のccTLDだが、GoogleではgTLDとみなすもの
    • .ad (アンドラ公国)
    • .as (アメリカ領サモア)
    • .bz (ベリーズ)
    • .cc (オーストラリア領ココス諸島)
    • .cd (コンゴ民主共和国)
    • .co (コロンビア)
    • .dj (ジブチ)
    • .fm (ミクロネシア連邦)
    • .io (イギリス領インド洋地域)
    • .la (ラオス)
    • .me (モンテネグロ)
    • .ms (イギリス領モンセラット)
    • .nu (ニウエ)
    • .sc (セーシェル)
    • .sr (スリナム)
    • .su (旧ソビエト連邦)
    • .tv (ツバル)
    • .tk (ニュージーランド領トケラウ)
    • .ws (サモア)

最近は4のドメイン、特に「.com」に近い分かりやすいドメインとして「.cc」や「.co」の利用が増えてきました。またテレビ局や動画サイトでは「.tv」を使っているところもあります。

4の ドメインを運営する国・地域は自国内に産業が少なく、自国のccTLDを使う自国企業がほとんどないことが多いです。よって世界中の人々にドメイン取得を開放し、その登録料を自国の収入に充てるなどの形で活用をしています。

そうなると 4の ドメインを使っているウェブサイトと本来の所属国の結びつきがほとんどないため、Googleも 4のドメインについては gTLDとみなすようにしているのです。しかしこれはGoogleが独自で行っていることなので今後変更される可能性があります。

全世界ではなく、特定の国や地域にターゲットを絞る

全世界ではなく、例えば台湾だけにターゲットを絞りたい場合もあると思います。例えばパングーも商売は台湾向けと日本向けだけなので、台湾向けは「pangoo.tw」と「.tw」ドメインのサイトを運営しています。

台湾のGoogleでは同じ繁体字中国語であっても、上記のように台湾にターゲットをしぼって作成されたサイトの方が全世界向けのサイトよりも優先的に表示されます。よってターゲットになる国・地域が絞れているのであれば、その国・地域のccTLDを使うのは良いと思います。

ただし「.tw」と「.jp」ドメインは別々に申請しなくてはいけないため、登録料も2つ分かかります。また有効期限が切れる前に更新料も払わなくてはいけません。まあ1つのドメインにつき、年額数千円程度の話ですが、例えば多くの国・地域になるとそれなりの費用になります。

gTLDをつかっても特定の国や地域にターゲットを絞る

googleでの検索結果に関して言えば、複数の国・地域のccTLDを使わなくても、gTLDでも、サイトの作成方法と設定次第で特定の国や地域にターゲットを絞ることが可能です。

まずターゲット別にしっかりサイトを分ける必要があります。サイトを分けるには「ディレクトリ」や「サブドメイン」を使います。

「ディレクトリ」を使って分けるとこんな感じです。「○○○.com」の右の「/jp/」 、「/tw/」、「/en/」で区別できるようにするわけです。

  • www.○○○.com/jp/ → 日本向け
  • www.○○○.com/tw/ → 台湾向け
  • www.○○○.com/en/ → 英語圏 (英語で作成するが、特定の国・地域を設定しない)

「 サブドメイン」 を使って分けるとこんな感じです。「○○○.com」の左の「jp.」 、「tw.」、「en.」で区別できるようにするわけです。

  • jp.○○○.com → 日本向け
  • tw.○○○.com → 台湾向け
  • en.○○○.com → 英語圏 (英語で作成するが、特定の国・地域を設定しない)

どちらでもGoogle的には変わりませんが、ウェブサイトのURLは「www.~」というイメージがありますので、私は最近は「ディレクトリ」の方が好みです。ただ好みの問題です。

こうやってサイトを分けて作ったら、Googleにそれぞれのサイトが日本向けなのか、台湾向けなのか、 特定の国・地域を設定しないか、登録すればよいのです。

なお「.jp」ドメインではサイトを「ディレクトリ」や「サブドメイン」で分けてもターゲットとなる国・地域は登録できず、日本向けに固定されるので注意が必要です。

日本語サイトに外国語ページを混在させるのはNG

また「ディレクトリ」や「サブドメイン」以外の方法でサイトを分けてもだめですので、これも注意が必要です。例えば日本向け・日本語のサイトの中に英語や中国語のページを混在させるのはGoogleに反映されない可能性が高いです。

  • www.○○○.com/technology.html 技術力アピール (日本語)
  • www.○○○.com/about.html 会社案内 (日本語)
  • www.○○○.com/product.html 商品一覧 (日本語)
  • www.○○○.com/・・・ その他複数ページ (日本語)
    ・・・
  • www.○○○.com/english.html 英語ページ (1ページのみ)
  • www.○○○.com/chinese.html 繁体字中国語ページ (1ページのみ)

これでは英語ページや中国語ページも全て日本語・日本向けと判定されるでしょう。

面倒でも、こんな感じで言語別に内容をまとめましょう。また英語や中国語のページは「とりあえず」で1ページだけつくるのではなく、せっかく作るのであれば、ある程度の内容を入れるようにすべきです。

  • www.○○○.com/jp/technology.html 技術力アピール (日本語)
  • www.○○○.com/jp/about.html 会社案内 (日本語)
  • www.○○○.com/jp/product.html 商品一覧 (日本語)
  • www.○○○.com/jp/・・・ その他複数ページ (日本語)
    ・・・
  • www.○○○.com/en/・・・ 英語ページ (複数ページ)
  • www.○○○.com/tw/・・・ 繁体字中国語ページ (複数ページ)

補足

今回、多言語・外国語サイトのドメインの選択について書きましたが、ドメインだけ正しく選択すれば、海外で検索結果の上位に表示されるというほど甘くはありません。この記事の内容はGoogleが公開している内容であり、最低限満たすべき内容ということになります。

そのほか、検索結果の上位にされるためには日本向けと同じく、以下のような事項への対応が必要となってきます。

  • コンテンツの内容・質
  • ページの表示速度
  • スマートフォンなどへの対応

中小企業の経営者の方から見ると「こんな細かいことに関わってはいられない」と思う方もいらっしゃるかと思います。たしかに経営者が自らやらなくても良いと思います。しかし他の人に任せる場合、その人に知識がある、もしくは学ぶ気があるのが大前提になります。

よくあるのは、担当者が「知ったかぶり」をしてしまうパターンです。例えばグラフィックデザイナーでデザインはすごくても、今回の記事の内容にあるような、より多くの人にサイトを見てもらうための方法論については余りよくわかっていないことも少なくありません。

せっかくお金や時間をかけて多言語・外国語サイトを作るわけですから、それを無駄にしないためにも、全般的な知識を踏まえた上で、適切な人に任せるのは非常に大事だと思います。

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