台湾では部品・材料もブランド!中小企業も「一部分」に徹し、海外に売り込む商機に!

台湾では部品や材料がブランド化され、製品の宣伝に繋げている事例が多数あります。 有力な最終製品が無くても、 さらには大企業や知名度の高い企業でなくても、「一部分」に徹することで、海外に売り込むチャンスがあるのです。

台湾の高層マンションでは柱の鋼材もブランドに

台湾のマンションの広告、新日鉄住金の制震間柱という部品を売りに
台湾のマンションの広告、新日鉄住金の制震間柱という部品を売りに

例えば台湾も地震が多く、高層マンションでは耐震性が重視されます。そういった高層マンションの広告でよく見かけるのが「新日鐵住金」の文字。台湾ではこういった建材の部分も広告の訴求ポイントになるのです。

最近の台湾の高層マンションの広告では「新日鐵」の3文字のみ入れているパターンもあります。あれこれ言わなくても耐震性の高い鋼材として認知されているのです。

台湾の高級乗用車の部品・要素技術もブランド

台湾独自ブランドの高級乗用車の広告、三菱重工のターボチャージャー、アイシンの自動変速機、ブリジストンのタイヤなど、日本の良い部品を取り入れていることをアピール
台湾独自ブランドの高級乗用車の広告、三菱重工のターボチャージャー、アイシン精機の自動変速機、ブリジストンのタイヤなど、日本の良い部品を取り入れていることをアピール

台湾独自ブランドの高級乗用車の広告、三菱重工のターボチャージャー、アイシンの自動変速機、ブリジストンのタイヤなど、日本の良い部品を取り入れていることをアピールしています。

ここで注目していただきたいのはエンジンの東名やホイールのRAYSなど、カーレーシングやチューンナップのパーツでは有名ではあるものの、一般消費者には必ずしも著名ではない企業もアピールしていることです。

沖縄の黒糖はエッセンス的な使い方

ミルクティーのペットボトルに「沖縄黒糖」の文字

沖縄の黒糖は飲み物やお菓子、料理に入れるエッセンス的な使い方で定着しています。台湾も黒糖はありますが、沖縄の某飲食関係者によると沖縄の黒糖の方が香りが良く、料理などに入れるとより味に深みが出るようです。

台湾のパンでは材料のブランド化も

台湾の高級パン屋に関する紹介、「137年專業技術的日本鳥越製粉」「日本星野天然酵母」など材料に関する記述がある

パンだと日本で製粉した小麦粉や日本から酵母を取り寄せていることもよくアピールされています。正直、台湾で鳥越製粉や星野天然酵母(有限会社ホシノ天然酵母パン種)の知名度が高いとは思えません。でも「日本」に対する信頼感、「137年」という実績、「天然」の安心感なども含めて訴求しているのです。

「一部分」に徹することで価格面などのデメリットも克服

こんなに人気なのだから、一部だけではなく全て日本の物を使えばもっと売れるのではないかと思われる方も多くいらっしゃいますが、残念ながら必ずしもそうとは言えません。

先ほどの沖縄黒糖ミルクティーで考えると、台湾では500mlペットボトル飲料の主力製品の価格は20~30元くらいです。 もし黒糖以外に牛乳などまで日本の物を使うと、コストが高くつき、多くの人の手に届く商品ではなくなってしまいます。

沖縄産の黒糖は台湾産や他国産と比べて高いですが、それを製品の「一部分」に取り入れることで、イメージ的なものも含めたメリットと価格のバランスを取りやすくなるわけです。

親日的と言われる台湾でも、日本ブランドを盲目的に支持しているわけではありません。あくまで購入する側のメリットの裏付けがあってこその日本ブランドなのです。もし価格が高い場合はその価格差を乗り越えるほどのメリットが必要になります。製品の「一部分」に徹するのは解決策の一つだと思います。

日本的「こだわり」は海外でも通用

ここまで複数の事例を取り挙げてきましたが、こうやって見ると必ずしも大企業だけでなく、必ずしも知名度が高いとは言えない企業も上記の例には含まれています。日本と言うだけである程度肯定的なイメージがある台湾では中小企業であってもブランドを確立させやすいと言えます。

こういった企業には共通点があります。それは製品開発や品質などで、自社の「こだわり」があることです。日本の中小企業は創業期の苦難を乗り越えて、商売を立ち上げてきた経験があります。そういった経験の中で積み上げてきたものには、海外にも通じるものがたくさんあるはずです。そこに商機があるはずなのです。

日本的「こだわり」は文字にしてこそ伝わる

もう一点海外への売り込みで大事なのは、会社の歴史や商品を開発した経緯、製造工程など、「こだわり」をしっかり文字にして、分かりやすく説明することです。海外では自分から進んで情報を発信しないと伝わりません。

また「門外漢」でも分かるように伝えることも重要です。自分たちや現在の顧客は当たり前に思っていることでも、そうでない人には分からないことがあります。新たなニーズは往々にして今までの顧客とは全く違う分野から出てくるのです。

参考文献 (クリックすると一覧を表示)
  • 土城日月光 (http://www.hiyes.tw/allcase/ase/index.html、2019年08月26日閲覧)
  • 愈來愈有梗 LUXGEN U6 GT/GT220 (http://www.carimage.com.tw/carInfo_news?mid=1&id=1510、2019年08月26日閲覧)
  • RAYS – The concept is racing. (https://www.rayswheels.co.jp/index.php、2019年08月26日閲覧)
  • 東名パワードとは (http://www.tomei-p.co.jp/about/、2019年08月26日閲覧)
  • 「b. LAB 基礎實驗」店中店 烘焙結合藝術超有fu | ETtoday新聞雲 (https://www.ettoday.net/news/20180215/1111229.htm、2019年08月26日閲覧)
  • 鳥越製粉株式会社 (http://www.the-torigoe.co.jp/、2019年08月26日閲覧)
  • ホシノ天然酵母パン種 (http://www.hoshino-koubo.co.jp/、2019年08月26日閲覧)

この記事はパングーの中の人が書きました。気に入ったら「いいね!」or「フォロー」をお願いします!

パングーは「小さく始める台湾ビジネス」を掲げ、台湾ビジネスのサポートを行っています。