港町・基隆(キールン)の繁華街にある古そうな洋館。高架道路に隠れてしまっているのが残念なのですが、3階建てで、屋上に空中庭園があり、屋根や窓の形など、非常に美しい建築物です。
廃墟になっていることと、昔米軍兵士相手に「美琪酒吧」というバーが経営されていたため、地元ではホステス「娜娜(ナナ)」と米軍兵士の恋沙汰で放火・心中事件が起こり、その後廃屋になり、深夜に幽霊のカップルが抱き合って踊っているなど、様々な都市伝説が語られるお化け屋敷となっています。しかし当時の新聞を見てもそういった事件は無く、こういった都市伝説は全くの虚構だったことが判明しています。
この洋館は日本統治時代の1931年に地元基隆で鉱業を営んでいる資産家・林開群が三角の土地に建てたものです。当時は視界を遮る高架道路もなく、周囲より頭一つ抜けた3階建てで、特徴的な空中庭園や屋根や窓などもしっかり見えたので、当時はきっとお洒落な洋館として目立っていたのではないかと思います。
現在廃墟になったままそのまま放置されている理由は、林開群の後、林家の構成員が増えすぎ、財産分与などが複雑になりすぎて、所有権もはっきりしなくなったためであることが判明しています。逆にそうだったからこそ今日まで解体されず保たれたとも言えます。